Aセク、パパになる

恋愛感情・性愛感情を他者に抱かない「アセクシャル」が、結婚してパパになります

僕がアセクシャルであることを、彼女にカミングアウトした話

アセクシャルであることを、パートナーにカミングアウトするとどうなるのか?
 
 
アセクシャルの僕が、ヘテロセクシャル(異性愛者)の彼女と結婚することとなりまして、その旨を先日、ツイッターで報告しましたら沢山の反応を頂けました。
 
皆さん、顔も知らない僕にお祝いの言葉を投げかけてくれて本当にありがとうございます!
 
さて、今回は、そんな僕が「無性愛者(アロマンティック・アセクシャル)」であることを、1年半の交際をしている彼女に伝えた話をします。
 
 
結論を先に申し上げておきますと、
  • 三日間、泣かれました
  • 理解はしてくれている模様
  • 結婚することになりました
という感じです。
 
以前から、彼女の方からは「結婚をしたい」という話はちょくちょく出ていました。
 
僕自身も、結婚が嫌な訳ではないですし、子どもが欲しいですし、子どもを育てるのには結婚している方が何かと便利だということは思っていました。
 
「いずれは結婚」という選択をするのは自分の中では決まっていましたね。
 
ただ、一つ気掛かりだったのが、自分の持っている「無性愛」という性質です。
 
「こんな自分でもいいのだろうか?」
 
「ヘテロ男性と結婚した方が彼女も幸せなんじゃないだろうか?」
 
「正直に、自分の性質について話すべきか」
 
「いや、カミングアウトしなくてもバレることないし、そっちの方が双方が幸せか?」
 
などと、色んなことを考えていたら、あっというまに時間だけが経っていました。
 
最終的には、プロポーズをすることになるんですが、「来週プロポーズをします」というなかなか例を見ない、事前通達方式を採用し、カミングアウトもその時にすることを決意しました。
 
一週間の猶予は、無性愛を分かり易く伝えるための準備期間です。
 
結局、当日は彼女に「無性愛」のwikiを見せ、「自分、これなんだ」という、とても簡素で贔屓目に見ても分かりやすいとは言えないカミングアウトになりました(汗)
 
いやー、プロポーズ以上に緊張しましたね。
 
カミングアウトの後、「そんな自分で良かったら結婚しよう」と告げます。
 
間髪いれずに「はい」と、結婚の了承を頂いたんですけど、今思えばすぐに判断できるものじゃないよな。
自分だったら、「ちょっと時間を頂戴」と言ってる案件。
 
カミングアウトとプロポーズを終え、緊張の糸が緩み、その日はぐっすりと眠ることが出来ました。
 

次の日、泣かれる

清々しく起きれた次の日、その日は劇場版コードブルーを一緒に観に行きます。
 
と、まぁ、分かるんですよ。
映画を見た後の彼女の様子がおかしいってことに。
 
「映画に感動した?」
いや、そんな単純なものではない。
 
頭の中で考えを巡らせ、答えを模索している様子。映画を観ただけでそんな状態になるのは考えにくい。
 
思いました「あー、自分の性質について考えてるな」と。「無性愛のこと、言わなければよかった」と後悔もします。
 
なんとなく、素っ気ない態度をされながら昼間を過ごします。
 
そして、その夜に泣かれました。
 
寝床に入って
「今日、昨日言った無性愛について考えてたでしょ。思ったこと言って。なんでも受け止めるから」と、言い出しやすい様に道を作ります。
 
すると
「なぁ、やっぱり結婚するの止めよ。分からん!私のこと好きじゃないってことでしょう」と、号泣しながら言われました。
 
うん、まぁ、予想できてた。異性愛者には、一朝一夕で理解できるものではないということは。
というか、自分自身も完全に「無性愛」を理解できているわけではない。
 
「彼女ちゃんのことは好き。ただ、恋愛的にそして性的に好きなわけではない。ごめんね。」
 
「でも、心の底から好きという感情、愛しているという感情が湧いてくるのは事実」
 
「これが、どういった好きになるのかは分からない。まだ、名前がない好きという感情かもしれない」
 
「理解は難しいかもしれない。自分も完全に理解しているわけではないから。」
 
「ただ、彼女ちゃんに対するこの好きという感情は、消えることはないから安心して」
と、思っていることを告げます。
 
「うん」
 
「彼女ちゃんは、俺のことはどういう意味で好き?」
 
「分からないけど、普通に好き」
 
「恋愛感情ではない?」
 
「昔はそうだったと思う。でも今は一緒にいると安心するというか、落ち着くというか。」
 
「そう。自分もね、彼女ちゃんと一緒にいると安心するし、落ち着くし、自分が素直になれる。」
 
「うん」
 
「ただ、ただ好きなわけよ」
 
「前に、恋愛感情について考えたことがある」
 
「なんで人は恋をするのか?って」
 
「恋愛という文字を見て。恋が先に来て、愛が後にくるよね。」
 
「うん」
 
「人間が子孫を作るには愛し合わなければならない」
 
「でも赤の他人を、そう簡単に愛せるわけではない」
 
「だからね、まずは恋という状況を作って、人を愛しやすい様に人間はできているんだと思う」
 
「つまり、愛するために人は恋をするんじゃないか?って考えた」
 
「うん」(←分かってない様子)
 
「無性愛の自分は、別に恋をしなくても人を愛することができる」
 
「恋というものがなくても人を愛することができるってこと」
 
「うん」(←分かってない様子)
 
「まぁ、今は理解しずらいかもしれんし、理解しろとも言わない。」
 
「ただ、50年経てば、自分は愛されていたんだなと分かるから」
 
「だから、ずっと一緒にいて。いい?」
 
「うん。今は分からないことが多いけど、理解しようと頑張ってみる」
 
「ありがとう!」
 
と、まぁ、こんな感じで気持ちを伝えました。ノーカット版。
読み返して恥ずかしくなったけど、そのまま載せる。
 

次の日も泣かれる

 
 
※ここからは下の話も出てくるので、そういうのが苦手な方は避けてください。
 
 
 
さて、泣かれたのは一日だけではありません。次の日も泣かれます。
泣かれたのは、夜の行為中。
 
自分は、全然そういった欲求はありません。別にしなくても大丈夫。
ただ、彼女が喜んでくれるので夜は張り切ってします。
その日も、今までと同じように頑張っていました。
 
と、まぁ、分かるんですよね、様子がおかしいことに。
というか、泣いてる。
 
「どしたん?嫌?」
 
「もう、やめよ。したくないんでしょ。頑張らなくていいから」
 
まぁ、そうなるかなとは思ってた。
アセクシャルの人の多くは、性嫌悪の性質も同時に持っているので、彼女も僕が性嫌悪であると勘違いしたみたいです。
 
「ううん、したいと思ってるよ」
 
「嘘。性行為を嫌悪するってネットで書いてあったから」
 
誰だ、アセクシャルと性嫌悪をごっちゃにした人は!
 
「うーん。正直に言うと、行為自体には興味がない」
 
「でも、嫌だってことはない。」
 
「興味はないけど、したいとは思う」
 
「どういうこと?」
 
「例えば、彼女ちゃんは、姪っ子ちゃんのこと好きでしょう。」
 
「姪っ子ちゃんが笑うから、いないいないばぁもやるよね?」
 
「うん」
 
「でも、いないいないばぁ自体が好きなわけではないでしょ?」
 
「いつもやってるわけではないもんね」
 
「うん」
 
「いないいないばぁで喜ぶ姪っ子ちゃんが好きなわけよ」
 
「彼女ちゃんは、いないいないばぁ自体に興味があるわけでも、嫌悪をするわけでもない」
 
「うん」
 
「自分もね、彼女ちゃんが喜ぶことをするのは大好き。それが夜の行為だっただけ」
 
「だから、彼女ちゃんが喜ばないんだったらやらない、喜ぶんだったらやる。そういうこと」
 
「じゃあ、嫌じゃないってこと?」
 
「いや、そう言うてるやん(笑)」
 
こんな感じで思ってることを伝えました。ちょっと端折った版。
これも読み返して恥ずかしくなったけど、そのまま載せる。
 
とりあえず、泣き止んだ。
いや、アセクシャルを説明するの「メンドクサッ」と改めて感じました。
 

次の日も泣かれる

 
ここで終わりかと思いきや、次の日も泣かれました。
今まで通りに戻ったかなー、と思ったところです。
 
「今までごめん、ゲイだとか言って」
「今までごめん、どんな気持ちか知らなくて」
と、突然言われます。
 
以前から「ゲイでしょ!本当のこと言って」と言われてました(笑)
まぁ、しょうがない。ゲイバーに定期的に行ってたし。
 
異性愛者には、無性愛(アセクシャル)という概念がないと思うので、「異性愛者じゃなかったら同性愛者だ」と認識するのは、普通なことだと思っています。
それで怒ったりしませんし、悲しんだりもしません。慣れてます。
 
なので、彼女から「ごめん」という言葉を聞いた時は、「こちらこそ分かりずらい性質を持っててごめん」と思いましたね。
 
「どんな気持ちで生きてきたのかなーって考えると泣けてくる」
「本当に何も知らなくてごめん」
 
と、何度も謝られます。彼女が謝る理由なんて無いのにね。
 
僕のことを想って涙を流してくれるのはとても嬉しいけど、「自分のせいで泣かせてしまった」と少し悲しくもなる。
なんで自分は異性愛者でなかったんだろうと。普通に恋愛できて性的欲求を彼女に抱けたら、自分も悩む必要はないし、彼女を泣かせることもなかったんだろうなと思います。
でも、これは受け入れるしかない。
 
「たしかに、辛い時もあった。でも今は理解してくれようとしている人がいるから、それだけで救われる」
 
「今は、何が辛いかというと、彼女ちゃんが求めてる感情を提供できないこと」
 
「自分が無性愛という性質を持ってて、それ以外の悩みは今はない」
 
「一緒にいてくれる人がいるだけで、本当に幸せ」
 
「ごめん」
 
「だから謝らんで。彼女ちゃんが笑ってくれたら自分はしあわせだから」
 
「逆に、泣かれたり、謝られたりすると辛い。俺のこと考えてくれるなら、いつも笑ってて」
 
「うん、分かった」
 
 
 
こんな、感じでカミングアウトの3日間の出来事は終わりです。
なるべく、言ったそのままのことを書いています。後から読み返したら、恥ずかしいし惚気も入ってますがご了承下さい。
 
まぁ、とりあえず、理解はしてくれている様だし、それだけで良かったなと思います。
ちなみに、彼女以外の人にはカミングアウトしていませんし、これからもするつもりはありません。
 
今は、ちょいちょい彼女から「アセクシャル」について質問がありますが、全て真摯に答えてます。
やっぱり知りたいみたい。自分も、吐き出すのにちょうどいい。
 
恋愛感情が抱けない、性的欲求を抱けないことで、結婚や子どもを諦めていましたが、希望が持てました。
ぶっちゃけ「結婚」自体はどうでも良くて、「一生側にいてくれるパートナー」ができたことに、強く嬉しいという感情を持ちます。
 
アセクシャルで一生涯のパートナーが欲しい人、パートナーがアセクシャルの人は希望は持って貰いたいと思います。
 
 
追記
アセクシャルと無性愛が記事中に混ざってますね、どっちも「他者に性的欲求を抱かない性質」ということで同じ意味です。読みにくくてすんません(汗